石井 和彦
Kazuhiko Ishii
トヨクモ株式会社の取締役 経営管理本部長。東北大学工学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行) 入行。その後サイボウズに入社し、ベンチャー企業の役員等を経て、2015年にサイボウズスタートアップス(現トヨクモ)に入社し、取締役 経営管理本部長を務める。
従業員が会社に求めるものを考えたとき、何を思い浮かべるでしょうか。やりがいやオフィス環境、裁量など様々な意見がある中で、「適正な評価」もそのひとつだと言えます。
その「評価」に対して、トヨクモでは2024年1月から新たな人事評価制度を導入しました。(リリースはこちら)
丸1年運用した今、制度設立の背景や今後の展望を取締役に聞いてみました。
トヨクモらしい「シンプルで効率的」な業務オペレーションと組織規模のバランス
ートヨクモが人事評価制度を取り入れた背景を教えてください。
トヨクモはビジネスモデルを重要視し、極力シンプルで効率的なオペレーションで成長してきました。その中で従業員の増加に伴い、その運用が従業員の覇気やチャレンジ精神に影響を与えていると感じたことがきっかけの一つです。
トヨクモとして高い目標にチャレンジすることを意思決定し、それを実現するにあたっては経営陣とともに従業員各々が高い目標にチャレンジする必要があります。それに加えてレベルの高い新卒や即戦力となるプロフェッショナルの中途社員を迎えることも重要です。
トヨクモの成長は従業員の成長にあると考えていますので、若い社員から中堅社員まで対象となる制度を導入し、モチベーションとパフォーマンスの向上に繋げたいと考えました。
ー評価制度の設立で苦労した点はありましたか?
全体構想はありましたが、トヨクモで初めての評価制度設立ですので、細部まで作り上げることは難しいと感じました。そのため、外部のコンサルティング会社にも制度設計を依頼することしました。
プロからの冷静な意見をもらいながら、第三者からの従業員へのヒアリングも実施することで、制度設計に必要な率直な意見を得ることもできました。
従業員がトヨクモに対して感じている良い点や懸念点について、おおよそは想像に近い意見が多くみられましたが、私の想像と違った意見があったのも事実です。それにより、よりリアルなトヨクモを知れたことは非常に意味があったと感じています。
その後は何度もミーティングを重ね、詳細なシミュレーションを繰り返し行い、細部を詰めて形にしました。

目指すべきは「適正に評価され、報酬として跳ね返ってくる」環境
ー評価制度によってどんなメリットがあると思いますか?
自分の個性・特性を考えて自らチャレンジする仕組みとなってくれることを期待しています。
この評価制度では、年に2回の目標設定と、それについて上長と進捗および結果を確認するための4回の面談を行っています。これにより自分は何が得意なのか、会社が掲げる目標のために何をしていくのかを考え続けるサイクルをつくることが出来ると考えます。そうすることでやりたいこともおのずと見つかるのではないでしょうか。
トヨクモは素直な社員が多く、無限のポテンシャルを感じています。そんな伸びしろがある社員が大きく成長する後押しになれたら、と思っています。
また、評価の「見える化」も実現すると考えます。
自分が何によって評価されたのか、逆にどこに改善点があるのかが分かりやすくなることで、モチベーションの向上や次回アクションの手助けになります。頑張って成果を出してくれている従業員に対して、会社として「正しく評価し、それが報酬として跳ね返ってくる」、これがあるべき姿だと言えます。
ここでの「報酬」とは、もちろん給与や役職など目に見えるものをありますが、次に与えられる仕事ややりがいのような目に見えない形の報酬もあると考えています。会社としては両方とも大切にし、どちらも還元していきたいです。

ー新たな評価制度を丸1年運用してみて、いかがでしょうか?
全社で共通のロジックで運用を始めましたが、将来的には職種ごとに評価体制を構築することも検討しています。
評価制度を運用していくことは当然重要ですが、同時に丁寧にコミュニケーションを行っていくことも同じくらい重要だと改めて感じることとなりました。何を評価して何に期待しているのかをしっかりと伝えること、今の状態と将来の目標を話し合うこと、これが従業員の成長のために上司が行うべきコミュニケーションです。ただ評価によって給与が上がることだけに着目するのではなく、本人が仕事の中での出来ることの広がりもしっかりと感じられるコミュニケーションを取っていきたいと思います。
また、大前提として、評価制度はトヨクモと個人の両方が成長し続けるための制度なので、会社の変化とともに制度も変化していくべきだと考えます。
現在は実績もプロセスも評価し、グレードというキャリアステップのマイルストーンを置いています。この評価方法やグレードの体制も定期的にブラッシュアップを行ってまいります。
グローバルに価値を届ける会社に
ー給与について、平均年収1400万を見据えているとのリリースがありましたが、高い年収を目指すその背景を教えてください。
トヨクモは世界展開を見据えていますので、そのようなグローバル視点で考えると早期に1000万円台まで上昇させる必要があります。実際に2018年から2024年までの6年で約65%の昇給を達成しました。
世界で戦える日本のIT企業を目指す私達にとって、優秀な人材の確保は不可欠です。このような考えから、人材採用における競争力を高めるために高い年収にもこだわりを持っています。
ー最後に、経理管理本部長としてトヨクモをどのようにしていきたいですか。
まずは日本国内のお客様から「トヨクモのサービスを使って生産性があがった」という言葉をもらえる会社にしたいです。その後はグローバルに展開できるサービスを開発し、世界のお客様からも同様の評価を得られると理想的ですね。
私たちのMissionは「すべての人を非効率な仕事から解放する」ことです。IT化が進んだとされる現在も、取り残されてしまった不要な仕事が存在しています。トヨクモのサービスによりそれらを効率化し、誰もが生産性高く働ける社会の実現に貢献したいです。
また、従業員それぞれが自分自身のビジョンをもって、自己実現ができる環境を用意していきたいです。今後トヨクモ自体の成長により求める人物像は変化していくことが想定されますが、そのような変化も楽しみ、ワクワクしながら成長を求める人と一緒に働きたいと思っています。
