池浦 あゆみ
Ayumi Ikeura
千葉大学 ⼤学院融合理⼯学府を卒業後、2023年 新卒入社
「人の役に立つデザインをしたい」その信念を抱えてトヨクモへ新卒で入社した池浦さん。
トヨクモの課題選考で提出したアイデアが正式に採用され、その大きな成果から入社1年目で1度、2年目でさらに1度、合計2度社内MVPを獲得しました。
「ユーザーのインサイトを見抜き、デザインで代弁する」それがデザイナーの役割だと話す池浦さんのこれまでの歩み、そして学生時代から目指し続けている理想のデザイナー像について、お話しいただきました。
人の役に立つデザインをしたい。その想いがトヨクモなら叶えられると思った
ー大学ではデザインを専攻していたとのことですが、デザインという分野に興味を持ったきっかけを教えてください
デザインの道に進んだのは、幼少期から絵を描くことやものづくりが好きだったからという単純な理由でした。好きなことを仕事にできたらいいなという思いから、ものづくり全般について勉強したいと考え、大学は工学部のデザインコースに進学しました。
ー進学先を検討する時点で、卒業後のことまで見据えていたんですね。進学後、どのようなことを中心に学んだのでしょうか?
空間デザインをメインに、プロダクトデザインやコミュニケーションデザインについても学びました。力を入れていたテーマは、コンセプト設計と情報伝達についてです。
進学前はデザインと言えば、見た目の設計が重要だと思っていました。それに対して、実際学んでみると、空間デザインやプロダクトデザインは、使う人の体験をデザインするものであることに気づきました。そのため、アウトプット(見た目)とコンセプト(指針)それぞれの重要性は同じくらい大切だと改めて実感しました。
良いコンセプトがなければ、良いサービスにはなりません。どれだけ表層的な見栄えが良くても、本質であるコンセプトが練られていなければ人から必要とされるサービスにならないと考えています。私自身コンセプトを考えるのが得意だったため、大学ではコンセプト設計の習得に注力しました。
一方、情報伝達というコミュニケーションデザインも学んでいました。路線図やインフォグラフィックの制作を通して、情報をわかりやすく届けるためのデザインを学習していきました。大学での学びは、実際の業務でも役立っていると感じています。
ートヨクモへ入社されるまでの経緯を教えてください。
私がデザイナーとして大切にしているのは、「人の役に立つ仕事・デザイン」をすること。学生時代からいままで一貫して重視している価値観で、就職先もその軸で探していました。
デザイナーの就活では、広告代理店や制作会社、そしてトヨクモのような自社でサービスを開発する会社など、さまざまな選択肢があります。広告もビジネスにおいては重要な要素ですが、私がやりたいのはもっと直接的に人の役に立つことでした。
そう考えているうちに、人生の大半を占める「仕事」における課題解決に携わりたいと思い立ち、toBの業務用プロダクトを提供している会社を探すことにしました。
ちょうどそのタイミングで、就活サービスを通してトヨクモからスカウトをいただいたんです。まさに自分がやりたい仕事だと感じ、採用されたら絶対入社しようと決めて選考に参加しました。無事に面接や課題選考を通過し、トヨクモで働き始めることとなりました。
表層的な課題を解決しても仕方がない
ー「課題選考」では、どのような課題が出されたのでしょうか?
「トヨクモ製品の1つである『FormBridge』を初心者にとって使いやすいサービスにするための、デザイン面での改善案を考えてください」という、ある程度自由度のある課題内容でした。
ー課題に対して、どのようにアプローチしましたか?
製品を初めて触ったとき、まず「見た目があまり洗練されていないな」と感じました。表層をただ綺麗にデザインし直すことも考えましたが、それだけでは表面的な課題しか解決できないだろうと考えました。根本の問題を改善しなければ「初心者が使いやすくなる」という条件を満たせません。
FormBridgeに触れるのは、その時が初めてのことでした。つまり私自身が、初心者ユーザーに当てはまります。
まずは、FormBridgeに触れてみて持った違和感をすべて書き出し、その中から根本的な問題を見つけ出す、という流れで課題に取り組みました。
ー最終的に、どういった改善案を提出したのでしょうか?
メニューの改善です。FormBridgeには設定に関するメニューが多数あります。当時は導入時に触るであろう基本的な設定を行うメニューと、高度な設定を行うものが、全て同列で掲載されていました。
そのためはじめて触れる人にとっては、何をどこまで設定するべきなのかがわからず、初期設定の時点で難しいと感じさせる設定画面になっていました。であれば、利用開始時に設定すべき項目だけを、適切な順序で提示してあげるUIにするべきだと考えました。その考えを形にした「基本設定」と「詳細設定」を分類したメニューにする案を提出しました。
ーユーザー目線を重視したからこその提案ですね。
コンセプトの設計と情報の伝達がデザインの基本という、私のデザイナーとしての考えが反映された案だなと自分でも思います。
こちらの案が評価されたことで、ありがたいことに内定をいただき、そのまま内定者アルバイトとして提案内容のデザインを担当することになりました。正直かなり苦労しましたが、去年の5月に無事にリリースできました。
リリース後にX(旧Twitter)を見てみると「メニューが変わって使いやすくなった」と投稿されていて。その投稿を見た瞬間、人の役に立てたと実感し、とても嬉しかったですね。
また、FormBridge以外のkintone連携サービス各製品に対してもこの提案が採用され、同様の仕様が実装されることに。社内MVPもいただき「あれはとても良い提案だったんだ」と自信を持てました(笑)。
「役に立つ」の先に「楽しさ」を設計できるデザイナーになりたい
ー「人の役に立つデザイン」を実現するためには、どのようなことが重要なのでしょうか?
あくまで私の考えですが、ユーザーのインサイトを見抜くことだと思います。デザインにおいてコンセプトが重要であることは先ほどお話ししましたが、コンセプトを決めるためにはインサイトが必要不可欠な要素になります。
例えば「設定が使いにくい」とユーザーの声が届いた場合、「設定を簡単にできるようにするためには?」という視点から考え始めると、目的が不明確になり的外れな改善案になりがちです。
「どうして設定を簡単にできるようにしてほしいのか?」というところから思考をスタートさせると、ユーザーが本当に実現したいことまで想像できるようになります。例えば「設定にかかる時間を可能な限り削減して、他の業務に時間を費やしたい」「ITリテラシーに自信を持つことができない社員に運用を任せて、システムに慣れるきっかけにしたい」などの要望の一歩先のインサイトをデザインに落とし込むことが重要だと考えています。
ー池浦さんは、どのようにインサイトを考えていますか?
私の場合は、ユーザーからの問い合わせ内容や事例記事の内容がインサイト探しの貴重な情報源となっています。ただ額面通り受け取るのではなく、そこから想像を膨らませながら真のインサイトに辿り着けるように努力しています。
人の役に立つデザインを形にするためには、表面的なものだけを見ていても意味がありません。私のデザインを通して、ユーザーが抱えている本当の課題を解決する。日々の業務の中でも、常にそう考え続けています。
ーデザイナーにとって、トヨクモで働く経験はどのように影響すると思いますか?
端的に「成長できる」と考えています。
就職するまでは、デザイナーというとデザインチームの一員になり、1つのプロジェクトをみんなで相談しながら進めていくものだと思い込んでいました。ですが、トヨクモはタスクごとに担当デザイナーが割り振られます。
最終判断はマネージャーが行いますが、基本的には自分1人で進めることになります。1つのタスクに対してデザイナーとしての責任を持つ意識が必然的に生まれるため、なんとなく仕事をこなすなんてことはできません。
常に自分で考えてデザインをするという環境であり、そこにデザイナー1年目から身を置けていたことは、成長スピードに良い影響を与えてくれていると思います。
ー最後に、池浦さんが掲げる今後の目標を教えてください。
担当している製品を「UXが良いから」という理由で選ばれるものにしたいです。トヨクモのサービスに対して、すでに「簡単に使える」という評価をいただいていますが、それでもまだまだ改善したい部分がたくさんあります。普段自分で使ってみても、難しいと感じる設定や手間のかかる操作がいくつもあるため、そこを何かしたいという思いが強いです。だからこそ、本当に誰でも手軽に使いこなせる、そんなデザインを実現させたいです。
個人的なところだと、人の人生を楽しくさせるデザインができるデザイナーを目指しています。私が目指す「楽しい」は、エンタメ的な楽しさではなく「役に立つ」の先にある楽しさ。
「できないことができるようになった。仕事が快適に進むようになった」。私のデザインを通して、そう思ってもらえるようになりたいです。