The Modelから「TMM」へ|営業に頼らず「売れる必然」を作る、トヨクモ流PLGの全貌

The Modelから「TMM」へ|営業に頼らず「売れる必然」を作る、トヨクモ流PLGの全貌

中井
マーケティング本部

中井

Nakai

2020年、トヨクモ新卒入社。最年少マネージャーとして、PLGを実行するプロダクトマーケティング部の部長を務める。

坂田
マーケティング本部

坂田

Sakata

2021年11月、トヨクモ中途入社。入社後に安否確認サービス2のセールスを担当し、現在はプロモーショングループのサブマネージャーを務める。


BtoBマーケティングの現場において、いわゆるThe Model(ザ・モデル)型の分業体制に限界が囁かれ始めています。リード件数を最大化するための無差別な一斉送信メールや、顧客の検討フェーズを無視した架電アプローチ。KPIの細分化は、時に部分最適を生み、現場の疲弊と顧客離れを招いています。

トヨクモは、この業界標準とは異なる選択をしました。売上規模の拡大よりも、利益と生産性を重視する。無闇に人を増やさず、仕組みで勝つ。そして何より押し売りは一切しない。顧客が自ら製品を選ぶPLG(Product-Led Growth)型モデル「TMM(トヨクモ・マーケティング・モデル)」を構築しています。
TMMについての動画は下記で公開中!


その結果は、売上⾼前年比54.4%増、営業利益率33.1%、解約率0.83%(※)という数字に表れています。2025年度はグループ初のM&Aなどの特殊要因も多くありましたが、TMMによる生産性の高さもこの好成績の一要因であると言えます。
なぜThe Modelを採用せず、少数精鋭の高収益モデルを実現できるのか。マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長の中井さんと、プロモーショングループ サブマネージャーの坂田さんの対話から、AI時代に勝ち残る新たなマーケティング論を解き明かします。
(※2025年12月期 決算説明資料より)

なぜ今、「The Model」からの脱却が必要なのか

―現在のBtoB市場における「構造的な課題」をどう見ていますか。

中井: 一言で言えば、分業の徹底による、顧客起点の喪失ですね。The Modelは優れたフレームワークですが、KPIが細分化されすぎた結果、多くの企業で目的と手段が逆転してしまっていると感じます。マーケティングはリード獲得数だけを追い、インサイドセールスは架電数や商談(アポ)数だけを追う。この構造だと、どうしてもマーケは質より量に走らざるを得ない。その結果、検討の浅い見込み客まで無理に次のプロセスに進めてしまうことになります。

参考:福田康隆, 2019年01月30日『THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』 MarkeZine BOOKS(https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798158167)


坂田: 現場では本当によくある話ですよね。 インサイドセールスから「リードの質が悪い」と不満が出て、マーケは「いや、確度の高い層は取り切ったから、数を稼ぐには検討度の浅い層も取らざるを得ないんだ」と反論する。この不毛な対立は、多くの企業で起きているのではないでしょうか。 でもこれ、顧客視点で見れば顧客体験の崩壊以外の何物でもないんですよ。

中井: おっしゃる通り。

坂田: 興味のない製品のメールが毎日のように届く、資料を落とした瞬間に電話がかかってくる……。これでは顧客は疲弊して、離れていく一方です。

中井:さらに経営的な視点で見ると、これは高コスト体質への入り口なんです。The Modelを回すためには、インサイドセールスやフィールドセールスといった多くの人が必要です。人を増やせば固定費が上がる。そのコストを回収するために、さらに強引な焼畑営業をせざるを得なくなる。短期的な売上は作れても、長期的な利益率は下がり続ける。この「人を増やして売上を買う」という構造自体が、企業の本質的な競争力を削いでいると考えています。

坂田: 同感です。 他社の方と話すと、「架電数がKPIだから、興味がないと分かっていても電話をかけ続けなきゃいけない」「本当はその時間で、もっと本質的な企画を考えたいのに」という声をよく耳にします。優秀な人材が高い給料をもらって、顧客に嫌がられる作業に時間を費やしている。これは企業にとっても、働く本人にとっても、不幸なミスマッチだと思います。

―そこでトヨクモは「TMM」へ舵を切ったわけですね。


中井: ええ。経営判断はシンプルです。労働集約型では、高収益体質は作れない。従来の営業主導型(SLG)だと、どうしても人も増やさざるを得ない。これでは固定費も比例して増え、利益率は頭打ちです。
私たちが目指したのは、構造的に利益が出続けるビジネスモデル。そのためには、人の力に依存しない仕組みが不可欠でした。

坂田:その仕組みに移行できるだけの土壌が、トヨクモの製品自体にあった、というのも大きいですよね。「安否確認サービス2」にせよ「kintone連携サービス」にせよ、私たちの製品はすべてノンカスタマイズのパッケージ製品です。これがもし、複雑な要件定義が必要な商材なら、どうしても営業の伴走が必要だったと思います。でも、トヨクモの製品はWebブラウザだけで完結して、直感的に使える。
だったら、高コストな営業部隊で説得して売るよりも、製品とコンテンツの力で、顧客が自ら学習して購入するPLG(Product-Led Growth)モデルに振り切る方が合理的だよね、という結論に至ったわけです。

中井:そう、だからこその「No form, No spam, No cold call」なんです。
無料トライアルの前にフォームで個人情報を取らない。情報がないからスパムメールも送れないし、電話番号も分からないから検討の浅いユーザーに架電もしようがない(笑)。他社のマーケターの方にこれを話すと「それじゃあ案件が作れないじゃないですか!」と驚かれますが、逆なんですよね。見込み客情報(リード)を無理やり集めたり、インサイドセールスをするのをやめて、本質的な業務だけにリソースを集中させる。逆張りに見えて、実は極めて合理的な選択なんです。

トヨクモ流「No form, No spam, No cold call」の勝算

― No form, No spam, No cold call。業界の定石とは真逆の大胆なスローガンですが、現場ではどう運用しているのでしょうか。

坂田: 顧客の検討フローにおけるストレスの徹底排除、これに尽きます。

まず、カタログや事例集、価格表などの資料閲覧に、個人情報の入力は一切不要です(No form)。情報は全てWebでフルオープンにすることを意識しています。
また、トヨクモにインサイドセールスという職種は存在しません。
展示会でお会いした方はもちろん、無料お試し中のお客様に対しても、無理に契約を促すような電話をかけることは一切ありません(No cold call)。 また、スパムのように大量のメールを送ることもせず(No spam)、お客様が自らの意思で判断し、納得して進める環境を何よりも優先しています。

―営業によるプッシュなしで、なぜ売上⾼前年比54.4%増、営業利益率33.1%を実現できるのでしょうか。

中井:リソース配分を「説得」から顧客の課題解決へ集中しているからです。営業にかかる莫大なコストをカットし、その分を製品とコンテンツに再投資する。 人が1件ずつ説得して回るより、Webコンテンツが24時間365日、自動で顧客の疑問を解決し続ける方が、圧倒的に効率が良い。 この高収益な自動化モデルこそが、売上⾼前年比54.4%増、営業利益率33.1%を生み出すエンジンの正体です。

トヨクモ株式会社 売上高推移


坂田:現場では、そのコンテンツの効果を最大化するためにIMV分析を徹底しています。Issue(顧客の課題)、Moment(タイミング)、Value(価値)。この3つが合致する瞬間を逃さない。営業電話はこちらの都合ですが、検索は顧客の能動的な行動です。顧客が課題を感じて検索したその瞬間に、的確な答えを用意しておく。「売り込まれた」ではなく「自分で見つけた」という体験を作る方が、実は成約までのスピードも速いですし、納得感も高いんですよね。

中井:そう、その納得感こそが、解約率0.83%という数字に直結しているんです。営業ノルマのために、本来必要のない顧客に無理やり売るようなことは一切しません。顧客が自ら試し、納得して契約する。つまり、入り口の時点でミスマッチが構造的に排除されている。だから、一度契約いただければ長く使い続けていただける。LTV(顧客生涯価値)が最大化され、それがまた高収益体質を強固にする。この「好循環」こそが、TMMの強みです。

坂田:本当にそうですね。無理に売らなくていいから、私たちマーケターも「どうすれば顧客の役に立つか」だけに集中できる。この精神的な健全性も、高い生産性を支える重要な要素だと思います。

AI時代(AIO)を見据えた、泥臭く高度なコンテンツ戦略

―営業がいない分、マーケティングチームへの要求水準は高そうですね。

坂田:ええ、正直なところ、高いハードルだと思います(笑)。 私たちに求められているのは、単に記事を書くことや資料を作ることではなく、経営にインパクトを与える資産を作ることですから。象徴的なのが量です。2024年は年間1,100本以上、前年の3倍ペースで制作しました。質か量かという議論をよく聞きますが、トヨクモの答えはシンプルで「量も質も、両方圧倒的にやる」。これ以外の選択肢はないんです。

参照:コンテンツ例 『トヨクモ防災DAY2026 防災を、未来への投資へ。』※申し込み数1,000を超える自社開催のオンラインカンファレンス


中井:新しいマーケティングモデルを作成するためには大変な事が多い、とは思いますよ(笑)。でも、このコンテンツへの全集中には、マーケティング上の明確な狙いがあるんです。それが、AI検索(AIO/SGE)時代への生存戦略です。 これからの検索体験は、AIがユーザーの問いに直接答えを返す形に変わっていきます。そこでAIに信頼できる情報源として引用されなければ、そもそも顧客の視界に入ることすらできなくなる。

坂田:検索順位の1位を取ればいい、という従来のSEOとは次元が違う話になってきているんですよね。

中井: その通り。だからこそ、検索ボリュームが少ないニッチな課題であっても、顧客が悩む可能性があるなら、すべて網羅してその課題を解決できるコンテンツを作成しておく必要がある。穴がない状態を作ることこそが、AI時代に選ばれるための必須条件なんです。


―なるほど。AIによる検索の変化には具体的にどう対抗していくのでしょうか。

坂田: 戦場がSEO(検索順位)からAIO(AI最適化)へ移る中で、小手先のテクニックは通用しなくなっています。信頼できる一次情報(E-E-A-T)が重要であることはSEO時代からの鉄則ですが、AI時代においてその意味合いはより深刻です。なぜなら、単なる情報の網羅や要約なら、今やAI自身が瞬時にできてしまうからです。AIが逆立ちしても生成できず、学習元として求めているもの。それは、まだWeb上にない「トヨクモの現場にしかない一次データ」だけです。だからこそ、私たちはネット上の情報をまとめるのではなく、実際のサポート対応履歴や、お客様からの声といった「生きた情報」をコンテンツ化することを何よりも重要視しています。

中井:そこで戦略の核になるのが、N=1への執着なんですよね。一般的なマーケティングでは、月間検索ボリュームが10件しかないようなニッチな悩みは非効率として切り捨てられます。でも、私たちは逆です。たった一人の顧客(N=1)が抱える深い課題なら、迷わずコンテンツ化する。

坂田: AIの視点で見ると、一般的な質問にはAI自身が答えられますが、そうしたマニアックで固有の悩みには、参照元(ソース)がないと答えようがないんですよね。

中井: その通り。そこが私たちの狙い目なんです。検索ボリュームの大小ではなく、課題の深さでコンテンツを作る。これを何千本と積み上げると、AIにとってトヨクモを参照しないと、ユーザーの問いに答えられない領域が出来上がる。他社がコスト効率を気にして拾わないN=1を拾い続けることこそが、AI時代における最強の生存戦略になると考えています。

マーケティングを牽引するリーダーへ。トヨクモで得られる市場価値

―トヨクモで働くことで、マーケターとしてのキャリアはどう変わりますか。

中井:キャリアの定義が、リード獲得の担当者から利益を創出するマーケターへと一変します。一般的な組織なら、営業にリードを渡せばマーケの責任は完了です。しかしトヨクモでは、バトンを渡す相手は「人(営業)」ではなくプロダクト。製品だけで自己解決できないリードを集めても、誰も代わりに売ってはくれません。どうすればPLG型で売れるか?を突き詰める過程で、強制的に事業全体を俯瞰する視野が広がる。部分最適の作業者ではなく、事業全体を動かす力が手に入る環境です。

坂田:リード数さえ稼げばいいという逃げ道がない分、視野は強制的に広がりますよね。CPAをどう下げるかという細かい最適化も大事ですが、それ以上に事業利益を最大化するために、今どこにリソースを張るべきかという投資判断が求められますからね。


中井:そうですね。だから現場の空気感も、予算消化ではなくどこに集中すれば、我々の理想とするビジネス(TMM)が実現するかという観点になります。 部分的な数字遊びは評価されません。その代わり、勝てるロジックさえあれば、入社1年目でも大きな金額を動かして挑戦ができる。その裁量の大きさは約束します。

坂田:形式上の最終決裁は本部長ですが、TMMの哲学からズレた使い方はしないという強い共通認識があるため、実質的な配分は現場に大きく任されていますよね。役職や年齢は関係ありません。論理的な勝算さえあれば、数千万円規模の施策でも承認が得られる。 自分で市場を読み、自分で予算をとり、勝負して、数字で責任を取る。 正直、プレッシャーは相当なものですが、自分の力で事業を動かしているという手触り感は、他では味わえないトヨクモならではの醍醐味だと思います。

―最後に、未来の仲間に期待することを教えてください。

中井: 今のTMMを、前提から疑ってアップデートできる人ですね。 私たちも、現在のTMMが正解だとは微塵も思っていません。まだ検証段階ですし、未完成なモデルです。だからこそ、既存の型にはまるのではなく、もっと良い方法があるはずだと仮説を立て、次の時代の当たり前を私たちと一緒に作り上げていける。そんな気概のあるリーダーを求めています。

坂田:出来上がった組織に入るのではなく、組織を作るフェーズですよね。

中井:そうですね。未完成なモデルを完成させるためには、全員が同じタイプでは意味がありません。仮説思考やデータ分析なら誰にも負けない、動画制作なら任せろ、文章で人を動かすプロだ……といった、何か一つ、尖った得意領域を持ったメンバーが集まることで、チームとして最強の状態を作りたい。

個の強みを持ち寄り、互いに尊敬し合いながら、新しいマーケティングの歴史を一緒につくる。そんな気概のある方との出会いを心待ちにしています。

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